モーパッサン ギ・ド

墓

一八八三年七月十七日、草木もねむる真夜なかの二時半のことである。ベジエ墓地のはずれに建っている小さなほったて小屋に寐起きをしている墓番は、台所のなかへ入れておいた飼犬がけたたましく吠えだしたので、その声に夢を破られた。

すぐに寐床を降りていってみると、どうやら小屋のまわりをルンペンか何かが徘徊してでもいるらしく、犬は、夢中になって吠えながら、頻りに戸の下のところを嗅いでいる。そこで墓番のヴァンサンは、銃を手にして、四囲に気をくばりながら戸外へ出た。

すると犬は、ボネエ将軍路のほうを指して、一目散に駈けて行ったかと思うと、トモアゾン夫人の墓石のそばのところで、ピタリと停ってしまった。そこで、墓番は用心に用心をして歩いてゆくと、まもなく、マランヴェール路の方角にあたって、幽かな灯影が見えた。抜足差足、跫音を忍ばせて墓石と墓石のあいだを歩いて行き、彼は眼を覆わしめるような冒涜行為を目のあたりに見たのである。

一人の曲者が、前の日にそこへ埋葬された妙齢の婦人の死体を掘り出して、今しもそれを墓穴から引ッぱり出そうとしているのだった。小形の龕燈が一つ、掘り返した土塊のうえに置いてあり、その灯がこの見るに忍びない光景を照らしだしていた。

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