中井 正一
「壇」の解体
文壇、画壇、楽壇、歌壇、俳壇、乃至学壇、評壇等々、それはそれぞれ犯すべからざる神聖なるにわである。空間的な特殊ななわ張りである。その中に置かれることで、或種の安心と尊敬をむさぼることの出来る一つの聖域である。人々はその中に祭られんことをのみ希っている。
又別の考え方より見れば、動物が自らを保護せんために群れをなし、群れの一部分となることで或種の安心をもつこと、これが人間それ自身を他の動物より区別せしめ、また人間同士ではその中で各々の群れを構成して行くこととなる。恰も羊の群れが獅子の攻撃に対して方陣を布く様に、人々は各々の群に於てその角を揃える。
このことはその群つどいが、実はその角の方陣の中にもぐり込むことを意味するのであって、ひくい意味に於てそれは逃避でもある。
このことが、次の様な現象を伴う。