岸田 国士
築地小劇場の旗挙
日本にはじめて純芸術的劇場が建てられ、その当事者が、何よりもまづ未来に目的を置いて、根本的な演劇革新運動を起したといふことは、実に愉快である。
「最初に現れたものをいきなり見られ、いきなり判決を下される事は迷惑至極である」だらう。僕は決してそんなことはしないつもりである。
「我々の使命は、如何なる形に於てなされるか、今我々自身予想することは出来ない」と、同劇場の首脳の一人は宣言する。ジャック・コポオもヴィユウ・コロンビエ座の建設に際して、これと同じことを言つた。これはたしかに、さもあるべきことである。
それなら僕は、築地小劇場の出現に大なる期待をもつてゐる演劇愛好者の一人として、今、何を言ふことができよう。