岸田 国士
武者小路氏のルナアル観
本誌七月号に「読んだ戯曲六篇について」批評の筆を取られた武者小路氏は、たまたま、拙訳になるルナアルの「日々の麺麭」に言及されてゐる。
先づ、訳者としてあれを読んで下さつたことを感謝する。そしてそれについていつもながらの直截な議論に接したことを幸せに思ふ。
あの訳文を、あれだけに買つて頂けば、訳者として瞑すべきである。たゞ、ルナアルに親炙する僕として、武者小路氏のルナアル観には、一応註釈を附けて置きたい気持がする。
武者小路氏とルナアル――かう並べて見たゞけでもなかなか興味があるではないか。