岸田 国士
棣棠の心
ファルギエール通りの貸本屋で、「マリイへの御告」を借りて来て、それをモンパルナスの墓地で読んだ――クロオデルを初めて知つたのはその時である。
ボオドレエルの死像の前に菫の花束などが置いてあつた。
なるほど、これは違つた世界だ――さう思つた。
やがて、喪服を着た若い女の、つゝましい瞬きに心を惹かれた。
岸田 国士
ファルギエール通りの貸本屋で、「マリイへの御告」を借りて来て、それをモンパルナスの墓地で読んだ――クロオデルを初めて知つたのはその時である。
ボオドレエルの死像の前に菫の花束などが置いてあつた。
なるほど、これは違つた世界だ――さう思つた。
やがて、喪服を着た若い女の、つゝましい瞬きに心を惹かれた。