岸田 国士

島国的僻見

日本がだんだん欧米化しつゝあるといふ見方は、或る意味で肯首できるけれども、それを悦ぶものも、それを嘆くものも、もう一段高い処から見て、総ての民族が世界化しつゝあるのだと思へば、人類の超国境的進化を認めないものゝ外は、さまで、日本のみが特殊な境遇に置かれてあると信じる必要はあるまい。

事実、現代の日本人は「多少とも」英吉利人であり、独逸人であり、露西亜人であり、仏蘭西人であり、亜米利加人であるのだ。然し、それがために、だんだん日本人でなくなると思つてはいけない。

現に、「多少とも」東洋人に、乃至は日本人になりつゝある欧米人もあるやうに見受けられる。

各国の文学が、その特色よりも、共通な或る標準によつて批判され、翫味されようとする時代が来てゐる。

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