岸田 国士
日本に生れた以上は
さあ、僕はどういふ風に云はうか?
林君は熱情を見事に整理しつつ雄弁を振つてゐる。森山君は、縹渺たる感懐をリリカルな思考に托してゐる。何れも文学者らしい態度で堂々とこの課題を征服した。
僕は、率直に云ふ。林君にはまだついて行けないし、森山君には少し焦らされた。
かういふ問題は、といふよりも、「愛国心」といふやうな言葉に対しては、文学者共通の潔癖から、まづ一つのポオズを択んで物を云ふやうになる。そこが興味のあるところであらうが、出題者の意図はどこにあるにせよ、僕は、この問題を、まだ「文学者的」に取扱ふ用意ができてゐない。