岸田 国士

戦死した友田恭助氏

友田君戦死の通知を受けて、かねて覚悟はしてゐたことながらまだ半信半疑の気持である。

俳優としての友田君は築地小劇場時代から知つてはゐたが、本統に知り合つて一緒に仕事をしはじめたのは昭和七年二月築地座結成以来である。

築地小劇場解散以後『新築地』『左翼劇場』『地球座』等左翼的傾向をもつた新劇団が続出し、それにつれて多くの新人俳優が擡頭して来たが、友田君は『新東京』以来本格的な新劇舞台俳優として、断然群を抜いた卓越した演技と貫禄とをもつて他を圧してゐた。

それは築地小劇場時代の多年にわたる、精進と修練とによる俳優としての技巧と天分とが、漸く円熟の境地に達した事を裏書きするもので、その将来には非常に大きな期待が持たれてゐた。

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