岸田 国士

世界人情覗眼鏡

七

日本語の研究をしてゐるポリテクニツクの学生を紹介された。採鉱や金の専攻らしい。青年の家庭には、父君が外国貿易商であるせゐか、いろ/\珍しい人物が出入してゐた。

お茶の会をするといふので、僕は出かけて行つた。ほんたうをいふと、僕はあまりかういふ場所を好まない。殊にパリへ流れ込んで来てゐる外国人が、容易に出入できるやうな家は、たゞ雑然たるエキゾチズムの刺激があるばかりだ。

凡パリへ行つて、文学芸術の修業を心がけ、アヴアン・ギヤルドの運動に眼をつけてゐたほどの人は、詩人A・Mの「面会日」を知つてゐるはずだ。これまた一寸類のない人種展覧会である。僕がそこで紹介された人だけでも、メキシコの詩人兼雑誌記者、ハンガリーの舞台監督、チエコ・スロヴアキアの文学青年、トルコの版画家、セルヴイヤの映画俳優、コルシカの女城主!

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