宮沢 賢治
柳沢
林は夜の空気の底のすさまじい藻の群落だ。みんなだまって急いでゐる。早く通り抜けようとしてゐる。
俄に空がはっきり開け星がいっぱい耀めき出した。たゞその空のところどころ中風にでもかかったらしく変に淀んで暗いのは幾片か雲が浮んでゐるのにちがひない。
その静かな微光の下から烈しく犬が啼き出した。
けれども家の前を通るときは犬は裏手の方へ逃げて微かにうなってゐるのだ。
宮沢 賢治
林は夜の空気の底のすさまじい藻の群落だ。みんなだまって急いでゐる。早く通り抜けようとしてゐる。
俄に空がはっきり開け星がいっぱい耀めき出した。たゞその空のところどころ中風にでもかかったらしく変に淀んで暗いのは幾片か雲が浮んでゐるのにちがひない。
その静かな微光の下から烈しく犬が啼き出した。
けれども家の前を通るときは犬は裏手の方へ逃げて微かにうなってゐるのだ。