宮沢 賢治

花椰菜

うすい鼠がかった光がそこらいちめんほのかにこめてゐた。

そこはカムチャッカの横の方の地図で見ると山脈の褐色のケバが明るくつらなってゐるあたりらしかったが実際はそんな山も見えず却ってでこぼこの野原のやうに思はれた。

とにかく私は粗末な白木の小屋の入口に座ってゐた。

その小屋といふのも南の方は明けっぱなしで壁もなく窓もなくたゞ二尺ばかりの腰板がぎしぎし張ってあるばかりだった。

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