渡辺 温・ワタナベ オン
兵士と女優
オング君は戦争から帰って、久し振りで街を歩きました。軒並のハイカラな飾窓の硝子に、日やけして鳶色に光っている顔をうつしてみました。高価なネクタイだのチェッコスロバキヤの硝子細工だのを売る店の様子は戦争に行く前とちっとも変っていませんでした。
「ちょいと、ちょいとってば!」
顔に黄色い粉をはたきつけた派手な様子の娘が、オング君をうしろから呼びとめました。
「おや、ハルちゃんじゃないか。これはよいところで!」オング君は嬉しくなって、そう云いました。
渡辺 温・ワタナベ オン
オング君は戦争から帰って、久し振りで街を歩きました。軒並のハイカラな飾窓の硝子に、日やけして鳶色に光っている顔をうつしてみました。高価なネクタイだのチェッコスロバキヤの硝子細工だのを売る店の様子は戦争に行く前とちっとも変っていませんでした。
「ちょいと、ちょいとってば!」
顔に黄色い粉をはたきつけた派手な様子の娘が、オング君をうしろから呼びとめました。
「おや、ハルちゃんじゃないか。これはよいところで!」オング君は嬉しくなって、そう云いました。