岸田 国士
劇文学は何処へ行くか
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私が戯曲を書きだしてからもう二十五年になる。四半世紀たつたといふわけである。その間に、いろいろな事情でしばらく戯曲の創作から遠ざかつてゐたこともあるが、やはりそれは自分の文学的故郷のやうなものであるから、折にふれて、いつかはまたそこへ帰りたいといふ願望がしきりに私を襲つた。
戦争もすみ、新劇団も活溌に動きだし、昔から関係の深かつた俳優諸君の健在を眼のあたり舞台で知る機会もでき、私は久々で戯曲を書いてみる感興をおぼえたのである。
しかし、妙なもので、いざ書かうとすると、なんとなく勝手が違ひ、機械なら歯車がうまく噛み合はないやうなもどかしさを感じてすこしギヨツとした。