岸田 国士
ヂアロオグ・プランタニエ(対話)
由美子 このごろ、町田さん、あなたのお宅へ、たび/\いらつしやるんですつて?奈緒子 えゝ、あなたのおうちへいらつしやるやうにね。由美子 あたしのうち……。でも、あの方、兄さまのお友達なんですもの。奈緒子 兄さまは、今、おうちにゐらつしやらないぢやないの。由美子 それや、母さまとだつて、お話はあるし……。奈緒子 だから、それでいゝぢやありませんか。あたしね、あなたに御相談があるの。由美子 あの方のことで?奈緒子 それより、あたしたちのことで……。由美子 ……。奈緒子 よくつて? あの方ね、あたしたち二人のうち、どつちかを、思つてるのよ。それ、わかるでせう。由美子 ……。奈緒子 そのうちに、きつと、どつちかのうちへ来なくなるわ。それはしかたがないとして、あなた、一体、あの方、どうお思ひになる?由美子 どうつて……。そんなこと考へたことないわ。奈緒子 ぢや、あたしから、云ふわ。あたし、あの方、好きなの。笑つちやいやよ。それで、若し、あの方が、あなたよりあたしの方を好きになつたら、もうそれつきりでせう。由美子 それつきりだわ。奈緒子 それつきりだなんて、あなた、それで、どうもない?由美子 だつて、しかたがないぢやないの。奈緒子 いゝえ、しかたがあるとか、ないとかぢやないの。あたし、ほんとのことを云へば、あの方が若し、あなたの方に行つてしまつたら、一寸、がつかりだわ。由美子 いやな方……。奈緒子 あなたも、ほんとのことを云へば、それを望んでらつしやるんでせう。由美子 望んでるなんて……そんな……。奈緒子 いゝえ、いゝのよ、ほんとのことを云つて頂