村山 籌子
兎さんの本屋とリスの先生
あるところに大変そそつかしい本屋さんがありました。兎さんです。ある日、お店へ本が来ましたので、フロツクコートを着て、鼻眼鏡をかけて、ステツキを持つて、その本を小脇にかかへて(人間から見るとおかしいですが、兎の本屋さんはこんなものです)売りに出かけました。
森の入口で、リスさんに会ひました。大変悧口さうなひげを生やしたリスさんですから、本を買つてくれるだらうと思つて「リスさん、本を買つて下さい。私はりつぱな本屋さんです」といひました。リスさんは、兎さんがフロツクコートといふ服を着て、鼻眼鏡をかけてゐるし、それにステツキをついてゐるので、成程りつぱな本屋さんだと思つて「僕は医科大学の先生です。本を買ひます。今、お金を持つてゐませんから、家までついて来て下さい」といひました。
兎さんは大よろこびで、リスさんの家へついて行きました。
遠い/\お家なので、家へついた時はもう真くらな夜になつてしまひました。門口まで来たので、リスさんはお家へはいつて行つて、お金を持つて来て、兎さんにお払ひをしました。