村山 籌子
風邪をひいたお猫さん
あるところにお猫さんとそのおかみさんがありました。それはそれは立派なおヒゲをもつてゐたので、二人は自慢でしやうがありません。毎朝、起ると、すぐに鏡の前へ行つて、そのヒゲに油をつけて、それを毛織の切れでよくみがきました。まるで、そのヒゲはナイフのやうに光りました。
けれども、二人があんまり自慢するので、初めのうちは、
「まあ、御立派なおヒゲでございますこと。」と会ふたびに言つてゐたお友達も、このごろでは、腹を立てて、何とも云つてくれません。
「ねえ、此頃はどうしたものか、誰もこの立派なおヒゲをほめなくなつたが、一体、どうしたもんだらう。」と、お猫さんはおかみさんに言ひました。おかみさんは、