村山 籌子
二階の窓までのびたチユーリツプ
あるお家に かあいいお猫さんがかはれてゐました。えりまきのかはりにもも色の首輪をつけて、たいへんハイカラにみじまひしてゐました。
或日、お庭をさんぽしてゐると、とつぜん、目のまへの土がムクムクとふくれて、その中から小さい草の芽が 頭をだしました。お猫さんはそんなものを見たのは はじめてでしたから、腰をぬかさんばかりにおどろきましたが、心をしづめて、「こんにちは、もぐらもちさん」といひました。草の芽は大さうおこつて「私、もぐらもちぢやありませんわ。チユーリツプといふ花の芽よ。」
猫は鼻のさきで せせらわらつて、
「土の中から、ムクムク出て来るのは もぐらもちにきまつてゐるさ。」といひました。