豊島 与志雄

金の猫の鬼

一

 むかし、台湾の南のはじの要害の地に、支那の海賊がやつてきて、住居をかまへましたので、附近の住民はたいへん困りました。殊にその海賊の首領は、頭に角が一本ある鬼で、船には守神として黄金の猫をもつてるといふので、「金の猫の鬼」と綽名されてる、気性の荒々しい大男でした。

「金の猫の鬼」をどうかしてたちのかせたいと、附近の住民たちはいろ/\相談しましたが、よい考へも浮かびませんでした。

それをピチ公がきいて、よし俺が行つてやらうといふので、一人でのこ/\出かけていきました。――ピチ公といふのは、元気な快活な少年で、魚が網ですくはれた時のやうにいつもぴち/\してるので、みんなからさう呼ばれてるのです。

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