中里 介山
大菩薩峠
一
清澄の茂太郎は、ハイランドの月見寺の三重の塔の九輪の上で、しきりに大空をながめているのは、この子は、月の出づるに先立って、高いところへのぼりたがる癖がある。人に問われると、それは、お月様を迎えに出るのだというが、しかし今晩は、どうあっても月の出ないはずの晩ですから、茂太郎も、それを迎えに出る必要はないはずです。
天には星の数
地にはガンガの砂の数
中里 介山
一
清澄の茂太郎は、ハイランドの月見寺の三重の塔の九輪の上で、しきりに大空をながめているのは、この子は、月の出づるに先立って、高いところへのぼりたがる癖がある。人に問われると、それは、お月様を迎えに出るのだというが、しかし今晩は、どうあっても月の出ないはずの晩ですから、茂太郎も、それを迎えに出る必要はないはずです。
天には星の数
地にはガンガの砂の数