新美 南吉
百姓の足、坊さんの足
一
十二月十二日に貧しい百姓の菊次さんは、雲華寺の和尚さんが米初穂をあつめて廻るのにお供していきました。
米初穂といふのは、ことしの秋とれた新しいお米のことで、村の百姓達はそれを少しづつお寺にささげて、仏様にのちの世のことを頼んだのであります。
和尚さんが村の家々の戸口に立つて、短い経を読むと、百姓達はもうちやんと知つてゐて、新しい米を枡に入れて奥から出て来ます。そのお米を受取つて袋に入れ、ふごで、になつていくのがお供の菊次さんの役目でありました。
新美 南吉
一
十二月十二日に貧しい百姓の菊次さんは、雲華寺の和尚さんが米初穂をあつめて廻るのにお供していきました。
米初穂といふのは、ことしの秋とれた新しいお米のことで、村の百姓達はそれを少しづつお寺にささげて、仏様にのちの世のことを頼んだのであります。
和尚さんが村の家々の戸口に立つて、短い経を読むと、百姓達はもうちやんと知つてゐて、新しい米を枡に入れて奥から出て来ます。そのお米を受取つて袋に入れ、ふごで、になつていくのがお供の菊次さんの役目でありました。