新美 南吉
疣
一
兄さんの松吉と、弟の杉作と、年も一つ違ひでしたが、たいへんよく似てゐました。おでこの頭が顔の割に大きく、笑ふと、ひたひに猿のやうにしわがよるところ、走るとき両方の手を開いてしまふところも同じでした。
「二人、ちつとも違はないね。」
とよく人がいひました。さうすると、兄さんの松吉が、口をとがらして、虫くひ歯のかけたところから唾を吹きとばしながら、いふのでした。
新美 南吉
一
兄さんの松吉と、弟の杉作と、年も一つ違ひでしたが、たいへんよく似てゐました。おでこの頭が顔の割に大きく、笑ふと、ひたひに猿のやうにしわがよるところ、走るとき両方の手を開いてしまふところも同じでした。
「二人、ちつとも違はないね。」
とよく人がいひました。さうすると、兄さんの松吉が、口をとがらして、虫くひ歯のかけたところから唾を吹きとばしながら、いふのでした。