土田 耕平

大寒小寒

おほ寒こ寒

山から小僧が

とんでくる……

 冬のさむい晩のこと、三郎はおばあさんと二人で、奥座敷のこたつにあたつてゐました。庭の竹やぶが、とき/″\風に吹きたわむ音がして、そのあとは、しんとしづかになります。そして、遠くの方で犬の吠える声がきこえたりするのも、山家の冬らしい気もちであります。大寒小寒の唄は、さういふさむい晩など、おばあさんが口癖のやうに、三郎にうたつてきかせる唄でありました。

青空文庫の作品カード