土田 耕平
騎士屋
私どもが小学四年生のときの受持は、牛島先生でありました。牛島先生は、色が黒くて目がギロリとして、いかにも怖さうな顔つきでしたが、笑ふと、まるで別の人のやうにやさしい顔になりました。
先生は、その年の春中学を卒業したばかりで、まだ大さう若い人でした。やがて南米へ行くのだと云つて、英語の勉強をしてをられました。休み時間には一人教室へ残つて、厚い辞書と首引をしてゐる姿をよく見ました。
「先生、外へ出て一所にあそばうぜ。」
私ども二三人して、教室の窓をのぞきに行きますと、先生は額ごしに大きな目を光らせて、