宮原 晃一郎

悪魔の尾

それはずつと大昔のことでした。その頃は地球が出来てからまだ新しいので、人間はもちろんのこと、鳥や獣すら住まつてゐませんでした。住まつてゐるものはたゞ悪魔ばかりであつたのです。

悪魔たちはみんな恐ろしく長い尾をもつてをりましたので、それを人間で言へば槍や刀の代りに使つて、のべつ幕なしに喧嘩をしたり、戦争をしたり、始末におへないので、世界中は治まりがつきませんでした。

こんな悪い悪魔たちでも、やはり仲間とは一緒に住みたいと見えて、とある山の中ほどに大きな湖水のある、見晴らしのよい場所を見付けて、市街をつくつてゐました。

けれどもこの湖からは、一筋の大きな河が流れて丁度悪魔の市の真ん中をとほるものですから、いつかしら悪魔たちは右の岸、左の岸と二派に分れましたので、とう/\喧嘩を始めました。すると両方へどこからともなく他の悪魔が来て、加勢するものですから、その喧嘩が愈々大きくなり、遂に戦争になつてしまひました。

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