鈴木 三重吉・リシュタンベルジェ アンドレ
乞食の子
一
トゥロットの別荘のうしろは、きれいな小さな砂浜になつてゐました。今トゥロットは、そこへ下りてあすんでゐます。そこへは村の人なぞはめつたに来ません。ですから、海のきはへさへ出なければ、一人でそこであすんでもいゝと、おゆるしが出てゐるのでした。
でも、お庭には、ちやんと女中のジャンヌがこしをかけて、見ないやうなふりをして、ちよいちよい、こつちをみてゐます。
トゥロットは、シャベルで大きな穴をほり、その砂をつみ上げて大きなお山をこしらへました。海の中につかつてゐる、そつちこつちの大岩や、砂の上に眠つてゐる、いろんな岩にもまけないやうな、大きなお山が出来ました。