チェーホフ アントン

子守つ子

夜、子守子のバルカは、きゝとれないくらゐの、ひくいこゑで、子守歌をうたひながら、赤ん坊のねてゐるゆり籠をゆすぶつてゐました。

「ねん/\よう。

ねん/\よう。」

 神だなの前には、ランプが緑いろにともつてゐます。壁から壁へ、細いひもがかけわたしてあつて、赤ん坊の着物や、大きなズボンなどが、うす黒くぶらさがつてゐます。ランプのつるしてあるま上の天井が、まるく、大きく、緑いろにかゞやいて、赤ん坊の着物やズボンの影を、長く、ゆり籠の上や、うづくまつてゐるバルカの肩の上に、おとしてゐます。

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