チリコフ オイゲン
そり(童話)
一
はてもない雪の野原を、二頭だてのそりが一だい、のろ/\と動いてゐました。そりにつけた鈴が、さびしい音をたてました。まつ白にこほりついた、ぼろござをきせられた馬は、にえたつた湯気のやうな息を、ひゆう/\はきつゞけました。
ぎよ車台には、こちらの村の百姓の子で、今年十三になるリカがすわつてゐます。お父つァんの古帽子をかぶつて来たのはいゝけれど、とてもづば/\で、ちよいとでもうつ向くと、ぽこりと、鼻の上までずりおちて来ます。リカは、それを、あらつぽくおし上げながら、
「ほい、ちきしよう。うすのろめ。はやくあるかねえか。ほい。」と、馬をどなり/\しました。