牧野 信一
西部劇通信
(都の友に贈つた手紙)
この写真を御覧――。
一見すると、まさにアメリカ・インデアンの屯所と見られるだらうが、好く好く見ると僕をはぢめいろいろ君の知つてゐる顔であることに気づくだらう。僕等は此処に斯んな小屋がけをしておいて、月の凡そ半分を村の仮宿から此処に移つて奇体な原始生活を営むのだ。
この小屋の傍らには綺麗な小川が流れて居り、この辺一帯は至極日あたりのなだらかな丘なのだ。そして、この丘の向ひ側は森林地帯で、三軒の炭焼小屋があり、その長閑な煙りが絶間もなく此処からでも眺められるのだよ。