牧野 信一
歌へる日まで
一
蝉――テテツクス――ミユーズの下僕――アポロの使者――白昼の夢想家――地上に於ける諸々の人間の行状をオリムパスのアポロに報告するためにこの世につかはされた観光客――客の名前をテテツクスといふ――蝉。
「その愚かな伝説は――」
さあ歌へ/\、今度はお前の番だ! と攻められるのであつたが、何故か私には歌へぬのだ――だが、私は凝ツとしてゐられないのだ――酒樽の上に立ちあがつて喋舌り出したのである。
牧野 信一
一
蝉――テテツクス――ミユーズの下僕――アポロの使者――白昼の夢想家――地上に於ける諸々の人間の行状をオリムパスのアポロに報告するためにこの世につかはされた観光客――客の名前をテテツクスといふ――蝉。
「その愚かな伝説は――」
さあ歌へ/\、今度はお前の番だ! と攻められるのであつたが、何故か私には歌へぬのだ――だが、私は凝ツとしてゐられないのだ――酒樽の上に立ちあがつて喋舌り出したのである。