牧野 信一
鵞鳥の家
(満里子の手帳から――)
一
冬のお休みになつたら今年もまた兄さん達といつしよに赤倉のスキーへ行くことを、あんなに楽しみにしてゐたのに、いざとなつたら母さんが何うしてもあたしだけを許して下さらないのだ。
「お前さんはもう学生ぢやないんだから、そんな遊びごとに耽つてはゐられないよ。」
牧野 信一
(満里子の手帳から――)
一
冬のお休みになつたら今年もまた兄さん達といつしよに赤倉のスキーへ行くことを、あんなに楽しみにしてゐたのに、いざとなつたら母さんが何うしてもあたしだけを許して下さらないのだ。
「お前さんはもう学生ぢやないんだから、そんな遊びごとに耽つてはゐられないよ。」