牧野 信一
木枯の吹くころ
一
そとは光りに洗はれた月夜である。窓の下は、六尺あまりの探さと、三間の幅をもつた川だが、水車がとまると、水の音は何んなに耳を澄ましても聴えぬのだ。
「寒いのに何故、窓をあけておかなければならないのだ?」
俺は囲炉裡のふちで、赤毛布にくるまつただるまであつた。彼は返事もせぬのである。
牧野 信一
一
そとは光りに洗はれた月夜である。窓の下は、六尺あまりの探さと、三間の幅をもつた川だが、水車がとまると、水の音は何んなに耳を澄ましても聴えぬのだ。
「寒いのに何故、窓をあけておかなければならないのだ?」
俺は囲炉裡のふちで、赤毛布にくるまつただるまであつた。彼は返事もせぬのである。