牧野 信一

街角

一

郊外に間借りをしてゐた森野が或る夕方ステツキをグル/\回しながら散歩してゐると、停車場のちかくで、ひとりの美しい婦人に呼びかけられた。

「……誰方でしたかしら?」

森野はそんな婦人に心あたりもなかつたので、思はずさう訊き返さうとした時、

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