牧野 信一

鸚鵡の思ひ出

一

「いくら熱心になつたつて無駄だわよ。――シン。鸚鵡だからつて必ず言葉を覚えるときまつてはゐまいし。」

アメリカ娘のFは、さう朗らかに笑つて私の肩を叩いた。足音を忍ばせて彼女は私の背後に近寄つたのだらう、声で、私は初めてFに気づいて振り反つた。

「僕は何もグリツプに言葉を教へようとしてゐたんぢやないさ。」

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