岡本 かの子

売春婦リゼット

売春婦のリゼットは新手を考えた。彼女はベッドから起き上りざま大声でわめいた。

「誰かあたしのパパとママンになる人は無いかい。」

夕暮は迫っていた。腹は減っていた。窓向うの壁がかぶりつきたいほどうまそうな狐色に見えた。彼女は笑った。横隔膜を両手で押えて笑った。腹が減り過ぎて却っておかしくなる時が誰にでもあるものだ。

廊下越しの部屋から椅子直しのマギイ婆さんがやって来た。

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