田中 貢太郎
偶人物語
古道具屋の大井金五郎は、古道具の入った大きな風呂敷包を背にして金町の家へ帰って来た。金五郎は三河島蓮田の古道具屋小林文平の立場へ往って、古い偶形を買って来た処であった。
門口の狭い店にはもう電灯が点いて、女房は穴倉の奥のような座敷で夕飯の準備をしていた。
「帰ったのですか、寒かったでしょう」
「平生だったら、寒いだろうが、今日は寒くねえのだ」
田中 貢太郎
古道具屋の大井金五郎は、古道具の入った大きな風呂敷包を背にして金町の家へ帰って来た。金五郎は三河島蓮田の古道具屋小林文平の立場へ往って、古い偶形を買って来た処であった。
門口の狭い店にはもう電灯が点いて、女房は穴倉の奥のような座敷で夕飯の準備をしていた。
「帰ったのですか、寒かったでしょう」
「平生だったら、寒いだろうが、今日は寒くねえのだ」