田中 貢太郎
平山婆
福岡県嘉穂郡漆生村に平山と云う処があって、そこに坑夫の一家が住んでいた。家族は坑夫の息子夫婦とその両親の四人であった。
明治末季比、その両親夫婦、即ちお爺さんとお婆さんが、ちょっとした病気で僅かの間に死んでしまった。ところで、その爺さんと婆さんが死んでから間もない時のこと、そこの息子の細君が何かの用事で壁厨を開けたが、開けるなり、
「わ」
と云って外へ飛び出した。庭では息子が薪を割っていた。息子はその声に驚いて、
田中 貢太郎
福岡県嘉穂郡漆生村に平山と云う処があって、そこに坑夫の一家が住んでいた。家族は坑夫の息子夫婦とその両親の四人であった。
明治末季比、その両親夫婦、即ちお爺さんとお婆さんが、ちょっとした病気で僅かの間に死んでしまった。ところで、その爺さんと婆さんが死んでから間もない時のこと、そこの息子の細君が何かの用事で壁厨を開けたが、開けるなり、
「わ」
と云って外へ飛び出した。庭では息子が薪を割っていた。息子はその声に驚いて、