田中 貢太郎
レンズに現われた女の姿
保土ヶ谷の某寺の僧侶が写真を撮る必要があって、横浜へ往って写真屋へ入り、レンズの前へ立っていると、写真師は機械に故障が出来たからと云って撮影を中止した。
僧侶はしかたなしに次の写真屋へ往って、レンズの前へ立ってたところで、どうした事かその写真師も、レンズに故障が出来たと云って中止した。僧侶はよく故障が出来るものだが、どうした事だと独言を云いながら、又次の写真屋へ往った。そして、又レンズの前へ立ったところで、又機械に故障が出来たと云って謝絶られた。僧侶は業をにやして、
「何故そんなに、機械に故障が起るのだ」
と云って詰問すると、写真師は、