坂口 安吾
西東
路上で煙次郎と草吉が出会つた。草吉は浮かない顔付であつた。
「どうした? 顔色が悪いな。胃病か女か借金か?」
「数々の煩悶が胸にあつてね、黙つてゐると胸につかへて自殺の発作にかられるのだ。誰かをつかまへて喋りまくらうと思つてゐたが、君に出会つたのは、けだし天祐だな」
「いやなことになつたな」
坂口 安吾
路上で煙次郎と草吉が出会つた。草吉は浮かない顔付であつた。
「どうした? 顔色が悪いな。胃病か女か借金か?」
「数々の煩悶が胸にあつてね、黙つてゐると胸につかへて自殺の発作にかられるのだ。誰かをつかまへて喋りまくらうと思つてゐたが、君に出会つたのは、けだし天祐だな」
「いやなことになつたな」