長谷川 時雨

市川九女八

一

若い女が、キャッと声を立てて、バタバタと、草履を蹴とばして、楽屋の入口の間へ駈けこんだが、身を縮めて壁にくっついていると、

「どうしたんだ、見っともねえ。」

部屋のあるじは苦々しげにいった。渋い、透った声だ。

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