長谷川 時雨
九条武子
一
人間は悲しい。
率直にいえば、それだけでつきる。九条武子と表題を書いたままで、幾日もなんにも書けない。白いダリヤが一輪、目にうかんできて、いつまでたっても、一字もかけない。
遠くはなれた存在だった、ずっと前に書いたものには、気高き人とか麗人とか、ありきたりの、誰しもがいうような褒めことばを、ならべただけですんでいたが、そんなお座なりをいうのはいやだ。
長谷川 時雨
一
人間は悲しい。
率直にいえば、それだけでつきる。九条武子と表題を書いたままで、幾日もなんにも書けない。白いダリヤが一輪、目にうかんできて、いつまでたっても、一字もかけない。
遠くはなれた存在だった、ずっと前に書いたものには、気高き人とか麗人とか、ありきたりの、誰しもがいうような褒めことばを、ならべただけですんでいたが、そんなお座なりをいうのはいやだ。