久生 十蘭

顎十郎捕物帳

恍けた手紙

「……手紙のおもむき、いかにも承知。……申し越されたように、この手紙の余白に、その旨を書きつけておいたから、これを御主人に差しあげてくれ」

「それで、御口上は?」

若いくせに、いやに皺の多い古生姜のようなひねこびた顔で、少々ウンテレガンらしく、口をあけてポカンと顎十郎の顔を見あげながら、返事を待っている。

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