久生 十蘭

顎十郎捕物帳

府中

「……すみませんねえ。これじゃ冥利につきるようで身体がちぢみます」

「やかましい、黙って乗っておれというのに」

駕籠に乗っているのは、ついこのあいだまで顎十郎の下まわりだった神田鍋町の御用聞、ひょろりの松五郎。

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