宮本 百合子

日記

一月一日 木

 夜、一時間。

家中が寝静まった、深い夜の沈黙の中に、此の日記の第一頁を書き始める。私の心の中には、今、殆ど言葉で云い表わせないような感動が漲って居る。総ての者のよき進展の為、総ての者への、豊饒な愛の収穫の為に私は祈を捧げよう。今日、私共を取繞んで居る生活が、常に何事をか欠いたものである事を痛感すればする程、祈願は深大なものに成るのではないだろうか。工藤次也氏が養子に行った先に就ての不幸な経験を話す。一人が一人の不幸を持つ。

一月二日 金

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