宮本 百合子
日記
八月十一日
国府津の海岸。夕方の六時すぎから七時、七時半、段々あたりが暗くなる裡に上げ潮の白い波頭が遠く二宮の海岸の方にまでよせては引く景色が実に美しい。
渚に立って、足の先を波に洗わせながら自分は、思いに沈んでいた。
愛するものの逞しい腕につらまってこの波に浮び、全身を力づよい潮にまかせて洗われたら、どんなに幸福であろうか、と。――
宮本 百合子
八月十一日
国府津の海岸。夕方の六時すぎから七時、七時半、段々あたりが暗くなる裡に上げ潮の白い波頭が遠く二宮の海岸の方にまでよせては引く景色が実に美しい。
渚に立って、足の先を波に洗わせながら自分は、思いに沈んでいた。
愛するものの逞しい腕につらまってこの波に浮び、全身を力づよい潮にまかせて洗われたら、どんなに幸福であろうか、と。――