宮本 百合子

日記

三月十日

 ○晴れて、きつい西風。

前の家のトタンやねが反射する、そしてこっちの室のおくの障子にうつる。

○北窓をあけると、白雲のういた空。遠くの学校の上のガラスが光った、こういう風の日、樹木の色は、寒げにかじかんでいる。が、青桐の芽の出ない枝々や幹は水気をふくんで、いつの間にかすんなりとせいがのびたように見える。

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