中井 正一

色彩映画の思い出

バンジャマン・クレミュウは『不安と再建』の中で、一九三〇年は、すべての領域で決定的な年であったといっている。世界的な経済危機、ロシアのダンピング、トーキーが欧州を風靡した年である。

それは集団的主張の時代が、個人的主張の時代に代わる年であると彼はいうのである。

わが国でも土橋的トーキーが、この流れにそって、研究され、世界の動きにおくれざらんとして戦っていた。そして、今、曲りなりにもトーキーは、世界的技術に踵を接して、歩を共にしていたのである。

なぜ、色彩映画が、今、みごとに世界から立ちおくれたかについて、私は感慨深い想いをもっているのである。

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