竹久 夢二

日輪草

三宅坂の水揚ポンプのわきに、一本の日輪草が咲いていました。

「こんな所に日輪草が咲くとは、不思議じゃあありませんか」

そこを通る人達は、寺内将軍の銅像には気がつかない人でさえ、きっとこの花を見つけて、そう言合いました。

熊吉という水撒人夫がありました。お役所の紋のついた青い水撒車を引張って、毎日半蔵門の方から永田町へかけて、水を撒いて歩くのが、熊さんの仕事でした。

青空文庫の作品カード