江見 水蔭

怪異暗闇祭

一

天保の頃、江戸に神影流の達人として勇名を轟かしていた長沼正兵衛、その門人に小机源八郎というのがあった。怪剣士として人から恐れられていた。

「小机源八郎のは剣法の正道ではない。邪道だ。故に免許にはいまだ致されぬが、しかし、一足二身三手四口五眼を逆に行って、彼の眼は天下無敵だ。闇夜の太刀の秘術を教えざるにすでに会得している。怪剣士というは彼がことである」

師の正兵衛さえ舌を巻いているのであった。

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