上村 松園
髷
ちいさい頃から、いろいろの髷を考案して近所の幼友達にそれを結ってあげ、ともにたのしんだのがこうじて、年がつもるにしたがって女の髷というものに興味を深くもつようになった。
ひとつは私の画題の十中の八、九までが美人画であったために、女と髷の不可分の関係にあった故でもあろう――髷については、画を描く苦心と平行して、それを調べていったものである。
私自身は二十歳すぎから櫛巻のぐるぐるまきにして今まで来ているのを想うと、自分の髪はたなへあげて置いて、ひとの髷となるとけんめいになって研究する――考えてみるとおかしな話である。
しかし、これも自分の仕事と切り離すことの出来ないものなので、折りにふれ時にふれ、それを調べているうちに、ずいぶんとたくさんの髷のかたちが私の脳中に陣取ってしまった。