ゴールドマン エマ
子供の保護
一
共産主義国家によつてつくられた、そしてごく真面目な努力を阻んでゐる嘘の中で、子供の利益の為めにしたボルシエヰキの活動と云ふ事程、悪いそして明かな事は何処にもない。尤もロシヤの子供達の生活に就いて云はれてゐる多くの事は、たゞの噺にすぎないとは云へ、しかし其のための非常な試みのあつた事は認めなければならない。が、何故其の試みは失敗したか?
私は、一九一九年、メデイソン・スクエア・ガアヅンで挙行された十月革命の第二回紀念日に、一人の演説者から受けた感銘をはつきりと覚えてゐる。
其の人は丁度ロシアから帰つて来たばかりだつた。彼は、ロシアでの子供の保護と取扱ひとを説いて、聴衆へ非常な感奮を与へた。私の心は其の国の人々の上に飛んだ。――其処には長い間の軛を投げ棄て、そして今は『子供の手に引かれて』ゐる民衆がゐるのだ。それは非常な驚異であつた。